Technical Information技術情報

技術情報

高出力CW可視域レーザ光源

<概要>
本製品は近赤外ファイバレーザ光源をシード光源として波長変換ユニット
組合せた高出力CW可視域レーザ光源です。
<特長>
良好なビーム品質(TEM00、M2<1.1)                                                    優れた波長安定性と出力安定性(波長:±0.02nm以下、出力:±1%以下)                      小型軽量なレーザヘッド
<応用分野>
レーザ顕微鏡、蛍光顕微鏡
フローサイトメータ                                                       DNAシーケンサ                                                粒子画像流速計測(PIV;流体可視化)                  

本製品の詳細

本製品はCW(連続波)の近赤外ファイバレーザをシード光源とし、その出力光ファイバに波長変換ユニットを接続して可視光帯域を発生させる構成
となっています。
シード光源には光ファイバ増幅器やファイバレーザの開発製品化で豊富な実績を持つカナダMPB Communications社の製品を使用しています。
波長変換ユニットは弊社独自の設計により高い波長変換効率が得られるよう最適化され、自社内でコーティングから組立まで一貫生産を行っています。
弊社では年間数百台レベルの継続生産を10年以上にわたって行っており、コスト対応と品質保証の実績があります。
シード光源とレーザヘッドの波長変換ユニットを光ファイバ接続とした分割構造にすることでレーザヘッドは小型軽量となり、超解像顕微鏡光学系
などの装置への搭載やハンドリングが容易になります。また、オールファイバ構成の為、高い安定性と長寿命を実現しています。
波長変換ユニットでは第二高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)により入力光波長を半分の波長に変換して空間光出力、もしくは光ファ
イバに結合して出力致します。
シード光源の波長を選択調整することで可視域全体をカバーする波長出力が可能になります。理化学分析などで使用される蛍光試薬などの波長にも
対応しています。具体的には460nm~780nmまでをカバーする波長出力に対応しています。
光出力はシード光源の出力を調整することで調整が可能ですが、変換光出力で最大5Wまで対応しています。
本製品はCW出力ですが、パルス出力などの対応も可能です。是非、お問合せ下さい。
<図表の説明>
図1は発振波長と光出力の製品ラインアップの一部を図式化したものです。表示の無い波長も対応可能ですので問合せ下さい。
図2は波長変換ユニットの内部概略図です。シード光源に1160nm光を使用し580nm高出力の場合を図示しています。
  シード光源5Wで変換出力1Wが可能な高効率波長変換ユニットです。
表1は製品仕様となります。出力波長は488nm~となっていますが、更に短波長の製品も対応可能です。

波長変換ユニット(レーザヘッド)

波長変換ユニットは弊社独自の設計により、高い波長変換効率を実現しています。お客様のご要望に応じてシード光源の特性とともに使用する波長変換素子
(一般的に酸化物の光学単結晶材料)の選択や波長変換素子の特性に適した光学系の最適化設計を行っております。設計では波長変換素子に入力するビーム径などの最適化を行います。また安定的な連続動作や故障発生を抑えるため、機械的な構造設計や温度安定化の放熱設計などを行います。特に光入力部は偏波保持光ファイバを使用しており、トレランスの厳しい単一モードファイバの調心と固定が求められます。弊社では光ファイバの固定方法に有機系接着剤を使用しないレーザ溶接工法を採用しており、長期的な特性安定性を確保しております。

高出力CW可視域レーザ光源に使用している波長変換素子には主にバルクタイプのPPLN結晶(Periodically Poled Lithium Niobate 結晶)を使用しています。PPLN結晶はLN結晶に周期的な分極反転構造を形成した結晶です。お客様のご要望に応じて波長や光出力などの仕様条件からPPLN結晶以外の波長変換材料も選択いたします。

波長変換素子、光ファイバやレンズなどの光学部品の端面には光損失を低減させるために反射防止膜(ARコート)のコーティングが必要になります。また波長変換素子から波長変換されずに通過してくる基本波光を除去する光フィルタ(ハーモニックセパレータと呼ぶ)も必要になります。そのようなARコートや光フィルタの成膜も自社内で行っています。成膜はコストパフォーマンスに優れたイオンアシスト方式の真空蒸着装置で行っております。ARコートや光フィルタは表面に汚れなどがある場合、通過するレーザ光の光吸収が発生し、最悪素子が破損するなどの重大な故障を発生させる可能性があります。弊社では高品質な洗浄技術も自社内で技術開発を行い、クリーニングを行っており、性能向上と信頼性向上に寄与しています。

高出力CW可視域レーザ光源の波長変換ユニットは第二高調波発生(SHG)ですが、お客様からのご要望に応じて第三高調波発生(THG)や第四高調波発生(FHG)、更に赤外光発生やTHz波発生用の差周波発生(DFG)や深紫外光発生用の和周波発生(SFG)などの波長変換ユニットやお客様がお持ちのレーザ光源用の波長変換ユニットも設計から製造まで対応が可能です。是非ともお問合せ下さい。

<写真の説明>
写真1)SHG 空間出力タイプの外観
写真2)SHG ファイバ出力タイプの外観